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  • 萩野谷俊平

研修や面接をオンライン/対面でするメリット/デメリットをまとめてみた



最近は,昔ながらの対面(face-to-face)でのだけでなく,大学の講義をオンラインで視聴できたり,講義自体をオンラインで行うケースもみられるようになっています。


私が提供するアバタートレーニングでも,導入機関の状況に応じてオンライン(音声通話)と対面の両方でサービスを提供しており,「対面とオンラインには,それぞれどんな長所と短所があるんだろう?」という疑問がありました。


今回は,心理学の実験研究に警察や児童相談所を中心に実施した研修の経験を加えて簡単にまとめてみました。以下では「講師」と「受講者」という形で記載しますが,面接では「面接者」と「被面接者」と読み替えてください。


対面(face-to-face)

長所

  • コミュニケーションに重要な役割を果たす視線や頷きなどの視覚的なシグナルが利用できる(Clark & ​​Schaefer, 1989; Duncan, 1972; Clark and Brennan 1991)

  • 日常の仕事から離れることで研修に集中できる(飛び入りの仕事が入りがちな現場の仕事をする受講者にとっては意外と重要)

短所

  • 講師と受講者が同じ時間,場所に集まる必要がある(移動の時間的・金銭的コストがある)

  • 効率的に実施するには集合研修の形を取る必要があり,結果として体験的な学習(演習,講師との議論など)の質と量が低下しやすい


オンライン

長所

  • 講師と受講者が自由にコミュニケーションできる限り,「音声のみ」「ビデオ」の両方で対面との間で効果に差はない(心理療法 (Day, & Schneider, 2002) と協調学習 (Roseth, Saltarelli, & Glass, 2011)の研究から)

  • 対面に比べてコミュニケーションの量が増加する(Boyle et al., 1994; Doherty-Sneddon et al., 1997)

  • 離れた場所で受講できる(移動の時間的・金銭的コストがない)

  • 講師が必ずしも必要ではない(e-learningの受講システムなど)

短所

  • 視覚的なシグナルが利用できない分,受講者の理解を確認するためのコミュニケーションが必要(Doherty-Sneddon et al., 1997)

  • 講師と受講者のコミュニケーションやサポートの量が少なく認知され,対面に比べて受講者の満足度が低くなる可能性がある(Johnson, Aragon, & Shaik, 2000)

  • 日常の仕事が忙しくなると中断や延期のリスクがある(自分の職場からも受講できるので,飛び入りの仕事が入ってしまうことがある)


研修や面接の効果に差がないという研究があるのは意外でした。ただし,効果が変わらない一方で,受講者の満足度が若干低くなる可能性がある,というのも気に留めておきたい点です。


実際にはそれぞれの特性に合わせて,長時間かけてより集中的なコミュニケーションが必要な内容については対面形式,特に定期的に何回も実施する必要がある内容について,事前学習や研修後の継続的なフォローアップを行う場合はオンライン形式を利用するなど,対面とオンラインを組み合わせた研修や面接の実施が一番望ましいと言えるでしょう。



#アバタートレーニング #司法面接 #児童虐待


参考文献

Weisband, S., & Atwater, L. (1999). Evaluating self and others in electronic and face-to-face groups. Journal of Applied Psychology, 84(4), 632–639. https://doi.org/10.1037/0021-9010.84.4.632

Day, S. X., & Schneider, P. L. (2002). Psychotherapy using distance technology: A comparison of face-to-face, video, and audio treatment. Journal of Counseling Psychology, 49(4), 499–503. https://doi.org/10.1037/0022-0167.49.4.499

Doherty-Sneddon, G., O’Malley, C., Garrod, S., Anderson, A., Langton, S., & Bruce, V. (1997). Face-to-Face and Video-Mediated Communication: A Comparison of Dialogue Structure and Task Performance. Journal of Experimental Psychology: Applied, 3(2), 105–125. https://doi.org/10.1037/1076-898X.3.2.105

Johnson, S. D., Aragon, S. R., & Shaik, N. (2000). Comparative analysis of learner satisfaction and learning outcomes in online and face-to-face learning environments. Journal of Interactive Learning Research, 11(1), 29–49.

Roseth, C. J., Saltarelli, A. J., & Glass, C. R. (2011). Effects of Face-to-Face and Computer-Mediated Constructive Controversy on Social Interdependence, Motivation, and Achievement. Journal of Educational Psychology, 103(4), 804–820. https://doi.org/10.1037/a0024213

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