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  • 萩野谷俊平

オープン質問とクローズド質問:具体例と子どもへの面接での効果



対人コミュニケーションの幅広い分野で活用できるスキルとして,オープン質問やクローズド質問といった質問方法があります。これらは特に誘導や歪みの少ない情報をできるだけ多く集めることが重要な場面での活用が進められており,司法の分野でも,児童や高齢者,知的障害者といった比較的誘導されやすい(被暗示性が高いへ)方への面接を中心に,被害者,目撃者,被疑者といった立場を問わず推奨されています。


以下では,心理学の研究(Korkman, Santtila, & Sandnabba, 2006; Sternberg et al., 1996)をベースに,質問の分類と具体例についてあげていきます。


望ましい質問

誘いかけ(Invitation Broad)

子どもから自由な発話を引き出せる質問。歪みのない信頼できる返答が期待できます。

例:

「最初から最後まで,あったことを全部教えて」

「思い出せることを全部教えて」


焦点化した誘いかけ(Invitation Focus)

子どもがすでに述べたことついて,誘導的な言葉を使わずに焦点化して尋ねる質問。歪みのない信頼できる返答が期待できます。

例:

「公園に行った後に何があったか教えて」

「パパとテレビ見てたんだ。その時のことをもっと教えて」


促し(Facilitator)

子どもがすでに述べたことついて,誘導的な言葉を使わずに掘り下げて尋ねる質問。子どもから自由で信頼できる応答を引き出すことが期待できます。

例:

「その後何があったの?」

「それから?」


WH質問(Drective)

「誰」「何」「どこ」「どのように」を尋ねる4種の質問。子どもがすでに言及したことについてさらなる説明を得ることができます。

例:

「お母さんとどこに行ったの?」

「〇〇君と何のゲームをしたの?」


明確化(Clarification)

子どもが言ったことを面接者が理解できなかったことを示す質問。子どもの発話が不確かになるケースを減らすことができます。

例:

「なんて言ったの?よくわからなかった」


望ましくない質問

はい・いいえ質問(Option posing)

子どもがまだ言及していないことを聞きますが,特定の回答には誘導しないタイプの質問です。こうした質問に対する子ども典型的な応答は,「はい」や「いいえ」です。子どもの返答内容はあまり正確ではありません。

例:

「お父さんと遊ぶの?」

「みんなで何かしてたの?」

「何でもいいよ,お話ししてくれる? 」


明確な誘導質問(Specific Suggestive)

子どもがまだ言及していないことについて,どのような回答を期待しているかを強く示します。この質問を使うと,誤った情報が作り出される可能性があります。

例:

「誰かにいやなことやられたと思うんだけど,誰にやられたか教えて」

「お父さんがやなことをしたんだよね?」


不明確な誘導質問(Unspecific Suggestive)

特定のことに焦点を当てずに,どのような回答を期待しているかを示す質問。親や友達の証言と矛盾していると指摘して社会的な圧力を与えたり,子どもの返答に対してネガティブな反応を示すことも含まれます。

例:

「男の人にいやなことされたって,お母さんから聞いたんだけどな」

「お話ししてくれないと助けてあげられないよ」


時間/原因/感情に関する質問や子どもの想像力を求める質問(Questions concerning time or cause or feelings or activating fantasy)

これらの情報に関する質問は,それが適切なオープン質問で行われても,不正確な応答や解釈が難しい返答を生み出します。認知処理能力の限界から,このタイプの質問に対する6歳以下の子どもの回答は信頼できません。

例:

「サッカーしてて楽しい?」

「お母さんはいつその公園からいなくなったの?」

「どうして?」

「◯◯君が◯◯ちゃんだったらどうする?」


選択式質問(Multiple Choice)

面接者が選んだ選択肢を子どもに提示します。子どもは,提示された質問に正解が含まれていない場合でも,選択肢の中から回答を選ぶ傾向があります。また,提示された質問に正解が含まれていても,選択肢の中からランダムに回答を選ぶ傾向があるため,この質問に対する回答は信頼できません。

例:

「叩かれたのは顔?手?足?」


長すぎる/あいまいな質問(Too long/Unclear)

二つ以上の内容について一度に尋ねるなど,子どもにとって理解が難かしい質問。この質問から信頼できる回答は期待できません。他にも,文として完結していない,文法的に不明確,否定を含む質問,子どもに適さない専門用語や言い回し,インタビュアの意見などがあり,どれも信頼できる回答は得られません。

例:

「お父さんと一緒にどこにいたの?その時二人だけだった?」

「みんなとはうまくコミュニケーション取れてる?」

「お話ししてくれないとおじさん困るなあ」


繰り返し(Repetition)

少なくとも主旨が同じ質問を2回以上連続で繰り返し尋ねることで,インタビュアは子どもに回答を変えるようにそれとなく求めることになります。こうして変えられた回答は信頼できません。

例:

「◯◯といつも何してるの?」(「◯◯といつも何して遊んでるの?」の後)


現場の面接で生かすために

これらの質問分類は科学的な研究に基づいて提案されたもので,いずれも重要なものですが,数が多く内容も複雑で,実際の面接に生かすのは簡単ではありません。


こうした知見を実践的に身につける方法として,アバタートレーニングでは,アバターに対する面接を繰り返すシミュレーション訓練を提供しています。


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参考文献

Korkman, J., Santtila, P., & Sandnabba, N. K. (2006). Dynamics of verbal interaction between interviewer. Scandinavian Journal of Psychology, 47(2), 109–119. https://doi.org/10.1111/j.1467-9450.2006.00498.x

Sternberg, K. J., Lamb, M. E., Hershkowitz, I., Esplin, P. W., Redlich, A., & Sunshine, N. (1996). The relation between investigative utterance types and the informativeness of child witnesses. Journal of Applied Developmental Psychology, 17(3), 439–451. https://doi.org/10.1016/S0193-3973(96)90036-2


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