​アバタートレーニングについて

 子どもへの虐待は,SDGs(Sustainable Development Goals: 国連加盟国が掲げる2030年までの持続可能な開発目標)においてもターゲットの1つとして扱われる世界的な課題であり,日本でも早急に効果的な対策が求められる問題です。

 

 日本では,虐待被害児童などに対して実施する司法面接について厚生労働省,最高検察庁,警察庁の三機関が情報共有と協同を推進する通知(2015, 2018)を発出し,被害児童の負担軽減および供述の信用性確保の観点から,三機関の代表者が聴取を行うケース(協同面接,代表者聴取などと呼ばれる)が増えています。したがって,聴取者には,非常に限られた面接回数・時間で信頼できる供述を得ることが今まで以上に求められています。

 その一方で,子どもの証言は誘導的な質問によって歪められる傾向があり,オープン質問を主体とした面接で歪みのない証言を得られやすくする面接技術を学ぶ研修が,各地で行われています。しかしながら,こうした面接技術を身に付けることは容易ではなく,技術の向上と維持のためには集中的な訓練とその後の継続的なスーパーバイズの実施が推奨されています。

 また,2018年には児童相談所の児童福祉司を当時の約3200人から2000人程度増員することが閣議決定されるなど,子どもへの面接技術を学習する実践家の数は今後も増え続けていくと予想されます。

 こうした背景から,集中的な訓練を継続的により多くの受講者へ提供するアプローチとして,日本におけるアバタートレーニングの開発と提供は進められています。

被虐待児童面接シミュレーション「アバタートレーニング」参考資料.jpg

 アバタートレーニングは,文字通りコンピュータなどの画面上に現れる「アバター」を用いた,聴取者(インタビュア)のためのシミュレーション訓練です。訓練ではこれまでの実証研究から望ましいとされる発問方法を身に付けることを目的としています。

 訓練で用いられるアバターは,それぞれ異なる背景で性的虐待被害が疑われる子どもであり,インタビュアはアバターへの面接を繰り返すことで,相手を誘導せずに正確な情報を引き出す技術を身に付けていきます。

 訓練で使用するアプリケーションは,子どもの面接に関する過去の研究知見に基づいたアルゴリズムを内蔵しています。面接シミュレーションでは,質問の分類に習熟した「オペレータ」がインタビュアの質問を聞き取り,コード化してアプリケーションに入力することで,アルゴリズムが自動的にアバターの返答を選択・再生します。

対面と遠隔.jpg

 アバタートレーニングの実施には,質問をコード化するオペレータが必要です。インタビュアとオペレータは,専用のアプリケーションを介して訓練を実施します。

 

 アプリケーションはMicrosoft Azureのサーバーで動作するため,インターネット環境さえあればインタビュアとオペレータが離れた場所にいても訓練を実施できます。

 

 そのため,訓練を実施する環境やスケジュールに合わせて,対面・遠隔のうち都合のよい実施方法を選ぶことが可能です。こうした実施環境の柔軟さから,従来の集合研修では難しかった定期的な訓練も比較的容易に実施することができます。

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 アバタートレーニングの開発は,フィンランドのオーボ・アカデミー大学を中心とした国際的な協働プロジェクトとして始まりました。現在は,米国,英国,中国,イタリア,ドイツなどの国々で協働体制が築かれています。

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 日本を含めた各地で複数の実験研究が実施され,面接中にオープン質問が使われる割合が増加するなど,一貫した面接技術の向上が認められています。

​ 現在は,より効率的に技術を向上させる介入方法や,中長期的な訓練効果の維持に関する研究が計画されています。

導入を検討されている機関の方へ

現在,アバタートレーニングを改良する研究に協力していただける機関へは,無償でトレーニングを提供しています。

トレーニングの方法には,上記のフォームから予約して任意の場所(自宅,職場のインターネット接続PCなど)から遠隔で受講する方法と,私たちがお貸しする機材一式を使用して所属内で受講する方法があります(機材が在庫切れとなる場合もありますのでご了承願います)。

導入にご関心のある機関へは,検討資料の提供や遠隔でのデモを提供していますので,メッセージフォームからお気軽にご相談ください。

萩野谷 俊平

ニューヨーク大学上海校

法政大学大学院ライフスキル教育研究所

​アバタートレーニング予約

 

ニューヨーク大学上海校の協力機関の方および立命館大学の司法面接研修受講者の方へトレーニングを提供しています。ご希望の方は,以下のフォームよりご都合の良い日時をご予約ください。

コンピュータ上に生成された仮想児童(アバター)に面接をすることで,実践的なトレーニングの提供を目指しています。 トレーニングでは,年齢や性別が異なる複数のアバターに面接を行い,聞き取った情報から各アバターの被害事実の有無を判断していただきます。
性的被虐待児童の面接訓練
2 時間
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